逆ステマとは、特定の企業やサイト(主に同業他社などライバル企業)に対してネガティブな情報を流すことで、相対的に自サイト(企業)を良く見せることで集客する手法のこと。
ステマ同様に一般ユーザーになりすまして行われるケースが多い。
逆ステマという言葉を聞いたことがあるでしょうか?
ステマなら知ってるけど・・
ネガティブキャンペーンと何が違うの?
逆ステマは違法なの?
そもそも逆ステマってどんなことするの?
そんな疑問に答えていきたいと思います。
逆ステマはライバル企業の評判を貶める卑劣な集客方法で、決して許される行為ではありません。
この記事では逆ステマを具体的な例を上げながら、わかりやすく解説をしていきたいと思います。
逆ステマとは
逆ステマとは、特定の企業やサイト(主に同業他社などライバル企業)に対してネガティブな情報を流すことで、相対的に自サイト(企業)を良く見せることで集客する手法のことです。
ステマがポジティブな情報や口コミなどを利用して集客ことに対し、反対にネガティブな情報を利用するので、逆ステマという言葉が誕生したのだと思われます。
当サイトではステマについて解説した記事がありますので、あわせて読んでみてください。
ネガティブキャンペーンとは違うの?
ネガティブキャンペーンとは選挙戦術のひとつです。
対立候補者を誹謗中傷することで、相手の信用を落とすことで、相対的に自らの評価を高めることを目的としています。
逆ステマと目的は同じで、ライバルの誹謗中傷、信用の失墜です。
逆ステマは違法なの?
逆ステマの手段としてネット上で誹謗中傷したり、デマや風評を広めたり、という問題は、民事上のトラブルに発展する危険が高く、名誉棄損や信用棄損として損害賠償義務が生じる場合があります。
また一定の要件に該当すると「名誉棄損罪」「侮辱罪」「偽計業務妨害罪」「信用棄損罪」などで刑事処罰されるおそれもあります。
名誉毀損罪
公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。(刑法230条)
侮辱罪
事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱した者は、拘留又は科料に処する。(刑法231条)
偽計業務妨害罪・信用毀損罪
虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。(刑法233条)
*信用毀損罪は相手の信用が傷つけられた場合に成立しますが、偽計業務妨害は相手の正常な業務運営が阻害された場合に成立します。
またステマ同様に場合によっては景品表示法や不正競争防止法に該当する可能性もあるでしょう。
逆ステマってどんなことをするの?実例を紹介
それでは逆ステマとはどんな行為を指すのでしょうか?
過去及び現在もなお行われている事例を用いてみていくことにしましょう。
①サムソン逆ステマ事件
最初にあげる事例は、台湾の逆ステマ事件です。
こちらはサムソン電子と逆ステマを請け負った企業に罰金支払いが命じられています。
どういう事件だったかというと、台湾サムスンが業者と契約してネット掲示板などに自社製品を持ち上げるとともに、競合他社の製品を貶めるようなコメントを多数投稿させていました。
台湾ではステマ行為は規制されており、法律(公平交易法 第24条)でも「欺瞞的又は明白な不公正な行為」は禁じられています。
②家庭用脱毛器事件
続いて逆ステマで商品比較サイトの発信者情報開示請求が認められた事例です。
家庭用脱毛器ケノン、その商品名を冠するケノン.asiaは、ケノンの販売会社とは何ら関係のないウェブサイトであり、サイトの記事ではライバル商品のラヴィに誘導する内容となっていました。
また脱毛器徹底比較.comと商品比較サイトにおいても、記載されているケノンの性能表示には真実とは異なる記載がありました。
東京地裁民事第47部高野輝久裁判長は、次のように判断し、被告が開示関係役務者であるとし、被告へ別紙発信者情報目録記載の各情報の開示を命じた。
1.サイトの契約者は、不正の利益を得る目的で、原告の特定商品表示である「ケノン」と類似の「ケノン .asia」とのドメインを使用するもので、これは、不正競争防止法2条1項12号の不正競争に該当する。
2.サイトにおいて、訴外他社の商品は、「78ジュールの出力は業界ナンバー1」「業界1の髙出力」であるとし、「みんなの評価」の見出しのもとで、訴外他社の総合評価を7ポイント、原告商品を3.3ポイントなどと表示したことは、不正競争防止法2条1項13号に該当する。
③投資顧問レビューサイト逆ステマ事件
こちらはステマの記事でも紹介しました、現在進行形で行われている逆ステマです。
問題となった投資顧問レビューサイトでは、広告元である数社のみ高評価。
ライバル企業は全て酷評するという、レビューサイトの公平さを欠く内容となっています。
2020年3月、レビューサイトの広告元であるTMJ投資顧問を運営する株式会社フラム及び雅投資顧問(現AIP投資顧問)を運営する株式会社MLC investmentに証券取引等監視委員会より行政処分を求める勧告が行われました。
行政処分の理由となったのが「著しく事実に相違する表示又は著しく人を誤認させるような表示のある広告をする行為等」
逆ステマが行政処分の原因となった訳ではありませんが、レビューサイトの記事内容がにデタラメであることを世間に知らしめることとなりました。
参考記事
株式会社MLC investmentに対する行政処分について
株式会社フラムに対する行政処分について
問題となったレビューサイトをいくつかピックアップして紹介しましょう。
上にあげたサイトを見てもらえれば一目瞭然。
行政処分が下された以降も広告元のTMJ投資顧問、AIP投資顧問を含むPRサイトに対し、高評価する口コミが連日不自然な数投稿されています。
逆にライバル企業には低評価の口コミのみしか投稿されていません。
「逆ステマが行政処分の原因じゃないから、今後もライバル企業に対しては嫌がらせを続けさせてもらいます」
そう開き直っているようにも感じます。
まとめ
ステマ行為同様、逆ステマもまた絶対に行うべきではありません。
名誉毀損罪など民事で訴えを起こされる場合もありますし、一定の要件を満たせば刑事処罰される可能性だってあります。
逆ステマで集客しようという考えはやめ、サービスや商品の質の高さで勝負すべきでしょう。
裏を返せば逆ステマを行っているような企業は、自社の商品(サービス)に自信がないのではないか?と疑ってしまいます。
ここにあげた逆ステマの例はごく一部にすぎません。
ユーザーも目にした情報の真偽を見極めるようなリテラシーを身に付けることが大切だといえるでしょう。